気分の落ち込みがあるとき、
食事は大切だと分かっていても、整えることが難しくなることがあります。

食欲がない。
甘いものばかり食べてしまう。
料理をする気力がない。
食事時間が乱れる。

一方で、食事の乱れや血糖のゆらぎ、睡眠不足、栄養不足が、だるさ、眠気、イライラ、集中力低下、気分の不安定さに関わることもあります。

今回は、気分の落ち込みと食事の関係について、管理栄養士として大切にしたい基本の考え方をお伝えします。

この記事でわかること

・気分の落ち込みと食事が影響し合う理由
・血糖のゆらぎを小さくする食べ方
・たんぱく質、鉄、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンDなど意識したい栄養素
・睡眠と生活リズムを一緒に整える大切さ
・6割主義で続ける考え方


気分の落ち込みと食事は一方通行ではない

気分の落ち込みと食事の関係は、単純ではありません。

「この食品を食べればよくなる」
「この栄養素だけで解決する」
というものではありません。

気分が落ち込むと、食事が乱れやすくなります。

一方で、食事の乱れ、睡眠不足、血糖のゆらぎ、栄養不足などが、からだのだるさや気分の不安定さに関わることもあります。

つまり、こころと食事はお互いに影響し合っています。

だからこそ、食事を整えるときも、完璧な食生活を目指すのではなく、

今の自分を支えるために、できることを少し足す

という視点が大切です。


食事は治療の代わりではなく、支える土台

まず大切なのは、食事だけで気分の落ち込みを解決しようとしないことです。

強い気分の落ち込みや、うつ病が疑われる状態では、医療機関での相談、休養、心理的支援、必要に応じた薬物療法などが大切になることがあります。

食事は、それらの代わりではありません。

ただし、食事はこころとからだを支える土台のひとつです。

睡眠、活動量、生活リズム、ストレス対策とあわせて整えることで、日々のコンディションを支える助けになります。

食事は、こころとからだを支える土台のひとつですが、治療の代わりではありません。

強い気分の落ち込み、不眠、食欲不振、日常生活への支障が続く場合は、無理をせず医療機関や専門家に相談しましょう。


まず意識したいのは「欠食を減らす」こと

気分が落ち込んでいると、食事を抜いてしまうことがあります。

とくに朝食を抜き、昼も軽く済ませ、夜にまとめて食べるようなリズムになると、血糖がゆらぎやすくなります。

血糖が大きくゆらぐと、

・だるさ
・眠気
・イライラ
・集中力低下
・甘いものへの強い欲求
・気分の不安定さ

につながることがあります。

まずは、栄養バランスを完璧にするよりも、

・朝に何か少し食べる
・昼食を抜かない
・夕食だけに偏らない
・食べられない日はスープやヨーグルトでもOKにする

ことを意識してみましょう。

まず目指したいこと

完璧な栄養バランスよりも、まずは「欠食を減らす」こと。

朝にヨーグルトだけ、昼におにぎりと味噌汁だけでも、食事リズムを整える一歩になります。


血糖のゆらぎを小さくする

血糖値が急に上がったり下がったりすると、眠気、だるさ、イライラ、不安感、集中力低下につながることがあります。

血糖のゆらぎを小さくするためには、次のような工夫が役立ちます。

・空腹のまま甘いものだけを食べない
・甘い飲み物を無糖のお茶や水に変える
・主食だけでなく、たんぱく質を足す
・野菜、海藻、きのこなどの食物繊維を足す
・食べる順番を意識する
・夜遅い食事は軽めにする

血糖管理というと、厳しい糖質制限を思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかし、大切なのは糖質をゼロにすることではありません。

血糖の波を大きくしすぎない食べ方を、無理なく続けることです。

血糖のゆらぎを小さくする工夫

・空腹のまま甘いものだけを食べない
・甘い飲み物を水やお茶に変える
・主食だけでなく、たんぱく質を足す
・野菜、海藻、きのこを足す
・食べる順番を意識する
・夜遅い食事は軽めにする


たんぱく質を少し意識する

たんぱく質は、筋肉や臓器だけでなく、こころや睡眠に関わる神経伝達物質の材料にもなります。

毎食しっかり用意するのが難しいときは、まずは1日1〜2回、たんぱく質を少し足すことを意識してみましょう。

取り入れやすい食品は、

・卵
・魚
・肉
・豆腐
・納豆
・ヨーグルト
・チーズ
・豆乳
・ツナ缶
・サバ缶

などです。

料理がつらい日は、コンビニや市販品を活用して構いません。


意識したい栄養素

こころとからだを支えるために、いくつか意識したい栄養素があります。

ただし、特定の栄養素だけで気分の落ち込みやこころの不調を解決しようとする必要はありません。

栄養は、どれか一つを大量にとるよりも、毎日の食事の中で少しずつ整えることが大切です。

また、強い気分の落ち込みや不眠、食欲不振、日常生活への支障が続く場合は、食事だけで対応しようとせず、医療機関や専門家に相談してください。

栄養素は「単独」ではなく「組み合わせ」で考える

こころとからだを支える栄養素は、たんぱく質、鉄、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、オメガ3脂肪酸、食物繊維など、複数あります。

どれか1つを大量にとるより、日々の食事で少しずつ整えることが大切です。


たんぱく質

たんぱく質は、筋肉、臓器、ホルモン、神経伝達物質の材料になります。

こころや睡眠に関わる物質を作るうえでも、たんぱく質は大切な土台です。

おすすめ食品:

・卵
・魚
・肉
・豆腐
・納豆
・ヨーグルト
・チーズ
・豆乳
・ツナ缶
・サバ缶


鉄は、酸素を全身に運ぶ働きに関わります。また、神経伝達物質合成酵素のはたらきを助けます。

不足すると、疲れやすさ、だるさ、集中しにくさにつながることがあります。

おすすめ食品:

・赤身肉
・魚
・あさり
・レバー
・卵
・大豆製品
・小松菜
・ひじき

※貧血が疑われる場合は、自己判断でサプリメントを増やすより、医療機関で確認することをおすすめします。


ビタミンB群

ビタミンB群は、糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーに変える働きに関わります。また、神経伝達物質の合成を助けます。

疲れやすさや、エネルギー不足を感じやすい方は、日々の食事で意識したい栄養素です。

おすすめ食品:

・豚肉
・卵
・納豆
・魚
・玄米
・大豆製品
・緑黄色野菜
・きのこ類


ビタミンC

ビタミンCは、ストレス時に消耗しやすい栄養素のひとつであり、神経伝達物質の合成をサポートする働きもあります。

また、鉄の吸収を助ける働きもあります。

ストレスが多い時期や、疲れやすさを感じるときは、果物や野菜から少しずつ取り入れてみましょう。

おすすめ食品:

・キウイ
・いちご
・みかん
・レモン
・ブロッコリー
・パプリカ
・じゃがいも
・小松菜


ビタミンD

ビタミンDは、骨の健康だけでなく、免疫やこころの健康との関わりも研究されている栄養素です。

日光を浴びることで体内でも作られますが、室内で過ごす時間が長い方や、日光を浴びる機会が少ない方は不足しやすい場合があります。

おすすめ食品:

・鮭
・サバ
・イワシ
・サンマ
・卵
・きのこ類
・干ししいたけ

日中に少し外に出て光を浴びることも、生活リズムを整えるうえで役立ちます。


カルシウム

カルシウムは、骨や歯の材料になるだけでなく、筋肉の収縮や神経の働きにも関わります。

不足しないように、日々の食事で少しずつ取り入れたい栄養素です。

おすすめ食品:

・牛乳
・ヨーグルト
・チーズ
・小魚
・豆腐
・厚揚げ
・小松菜
・切り干し大根


マグネシウム

マグネシウムは、エネルギー代謝や筋肉、神経の働きに関わるミネラルです。

現代の食生活では不足しやすいこともあるため、豆類、海藻、ナッツ、未精製の穀類などを意識すると取り入れやすくなります。

おすすめ食品:

・納豆
・豆腐
・大豆製品
・海藻
・ナッツ類
・玄米
・雑穀
・ごま
・きなこ


亜鉛

亜鉛は、味覚、免疫、ホルモン、たんぱく質、神経伝達物質の合成などに関わるミネラルです。

食欲が落ちているときや、食事量が少ない日が続くと、不足しやすくなることがあります。

おすすめ食品:

・牡蠣
・赤身肉
・魚
・卵
・チーズ
・納豆
・高野豆腐
・ナッツ類


オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、青魚などに多く含まれる脂質です。炎症反応の調整に関わり、神経細胞膜の柔軟性を保つことで、神経伝達がスムーズに行われる環境づくりを支えます。

日々の食事の中で、魚を取り入れる機会を増やすことがおすすめです。

おすすめ食品:

・サバ
・イワシ
・サンマ
・鮭
・ツナ
・くるみ
・えごま油
・アマニ油


食物繊維

食物繊維は、血糖の上昇をゆるやかにする助けになります。

腸内環境を整えるうえでも大切です。腸は脳と自律神経やホルモンでつながり、腸内環境が整うと神経伝達物質の生成や炎症の抑制を助け、心の安定につながります。

おすすめ食品:

・野菜
・海藻
・きのこ
・豆類
・もち麦
・オートミール
・雑穀
・果物

まず足しやすい食品

・卵
・納豆
・豆腐
・ヨーグルト
・サバ缶
・ツナ缶
・小魚
・ナッツ
・冷凍野菜
・味噌汁
・もち麦や雑穀入りごはん

難しく考えず、いつもの食事に1つ足すところから始めましょう。


睡眠と生活リズムも一緒に整える

食事だけを整えようとしても、睡眠不足や生活リズムの乱れがあると、血糖や食欲は乱れやすくなります。

睡眠不足は、インスリンの効きを悪くし、血糖値を上げやすくすることがあります。

また、食欲を調整するホルモンにも影響し、甘いものや脂っこいものを欲しやすくなることがあります。

まずは、

・起きる時間を大きくずらさない
・朝に光を浴びる
・朝食を少しでもとる
・午後のカフェインを控える
・寝る前のスマホを見る時間を少し短くする
・10分早く寝る

など、できるところから整えてみましょう。


6割主義で考える

気分が落ち込んでいるときに、完璧な食事を目指す必要はありません。

むしろ、完璧を目指すほど苦しくなることがあります。

朝食をしっかり作れなくても、ヨーグルトだけでOK。
コンビニでも、卵や味噌汁を足せたらOK。
甘いものを食べても、次の食事で整えればOK。

健康管理は、自分を責めるためのものではありません。

自分のからだを支えるためのものです。

6割できたら十分、という気持ちで続けていきましょう。

6割主義で大丈夫

朝食をしっかり作れなくても、ヨーグルトだけでOK。
コンビニでも、卵や味噌汁を足せたらOK。
甘いものを食べても、次の食事で整えればOK。

健康管理は、自分を責めるためではなく、自分を支えるためのものです。


まとめ

気分の落ち込みと食事を考えるとき、大切なのは以下です。

  1. 食事だけで解決しようとしない
  2. 欠食を減らす
  3. 血糖のゆらぎを小さくする
  4. たんぱく質を少し足す
  5. 鉄・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンD・カルシウム・マグネシウム・亜鉛・オメガ3脂肪酸・食物繊維も意識する
  6. 睡眠と生活リズムも一緒に整える
  7. 完璧ではなく6割主義で続ける

こころと食事は、お互いに影響し合っています。

できることを少しずつ足しながら、自分を支える食べ方を見つけていきましょう。


気分の落ち込み、不安、不眠、食欲不振、日常生活への支障が長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家に相談してください。

食事や生活習慣はこころとからだを支える一部ですが、必要な治療や支援の代わりになるものではありません。

また、貧血や栄養不足が心配な場合、自己判断でサプリメントを増やすのではなく、医療機関で相談することをおすすめします。

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KameKichi
管理栄養士のKameKichiです。はたらく人の健康管理をテーマに活動中。「大人のゆるっと健康塾」を通じて、健診結果・血糖管理・食事・睡眠などを、無理なく続ける「6割主義」で発信しています。