まじめな話

第3回:「太りにくいからだになる〇〇〇の活性化」

第3回目は

  • 活性化することで太りにくいからだになる〇〇〇とは?
  • 〇〇〇を活性化する方法とは?

についてまとめてみました。

活性化することで太りにくいからだになる〇〇〇とは?

第2回を読んでくれた方ならば、察しがついていると思いますが、答えはズバリ「BAT」です。

「BAT」とは、「褐色脂肪細胞」と「ベージュ脂肪細胞」が構成する組織のことであり、熱を産生・エネルギーを消費する働きをしてくれます。

しかし、成長や加齢に伴い減少し、その「量」や「活性」には大きな個人差があるといわれているため、「中年太り」が気になり始めた人にとっては、「自分は量や活性が低いタイプなのだ」・・・と悲しい気持ちになってしまうかもしれません。

ところが、

  • 量や活性が低い人
  • 機能低下し、発現量が減ってしまった人

であっても「活性化」・「再活性化」する効果があるといわれていることを、行うことで「増量」が可能であることがわかってきています。

「BAT」を活性化し、増量することができれば、             減量したり、太りにくいからだを手に入れることが期待できる

では、どうすれば「活性化」・「増量」することができるのでしょうか?

BATを活性化する方法とは?

恒温動物であるヒトのからだには、体温を維持するために様々な仕組みが備わっています。その1つとして「BAT」は、寒冷環境にさらされると熱を産生する脂肪細胞です。

このことからわかるように、「BAT」を活性化・増量する最も有効な刺激は寒冷刺激です。

実際に1日2時間17℃の寒冷刺激を6週間継続して与えることで、活性化したと報告されています。

しかし寒冷刺激を日常生活に取り入れることは難しく、また取り入れられたとしても脳卒中や不整脈、心臓発作などのリスクがあるため、あまりオススメすることができません。

そこで、寒冷刺激以外で活性化できる方法をご紹介したいと思います。

活性化する方法
  • 食事
  • 食品由来成分
  • 運動

食事(食事誘発性熱産生)

食事誘発性熱産生(DIT)は、1日の総エネルギー消費量の約10%を占めています。

熱産生が高まるのは、

  • 食物を噛んだとき
  • 消化・吸収するとき(たんぱく質:20~30%、炭水化物:5~10%、脂質:0~3%程度)
  • 「おいしさ」を感じて食べたとき

であるといわれています。

この熱産生は、食物の消化・吸収によるものが多くを占めますが、これに加えて交感神経や消化管ホルモンを介した「BAT」の活性化によるものがあります。

3食の食事による違いもあり、朝食でもっとも高くなります

また食事誘発性熱産生(DIT)には、長期的なエネルギー摂取の増大に対し、熱を産生(消費)してエネルギーバランス(体重の増減)を保とうとする恒常性維持機構としての働きもあると考えられています。

食品由来成分

「BAT」の活性化は、体表などの感覚神経に発現する温度受容器TRPチャネルによって温度刺激を感受することで始まり、その後脳視床下部と交感神経を介してミトコンドリア熱産生タンパク質(UCP1)を活性化することで起こります。

TRPチャネルは50種類ほどあり、その中で「TRPV1」、「TRPA1」、「TRPM8」などは、寒冷刺激と同様の作用を持つ食品成分によっても活性化され、「BAT」の活性化を誘導できるといわれています。

カプシノイド類

トウガラシ含有の「カプサイシン」は、胃の感覚神経終末に発現する「TRPV1」を活性化させ、それにより「BAT」に接続する交感神経の活動が活性化して「BAT」で熱産生が起こります。

しかし、辛みが強いので体脂肪を減らすための必要量を摂取するのは現実的ではありません。

カプサイシンの1,000分の1の辛さであるカプシノイド類(カプシノイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト)にも「TRPV1」、「TRPA1」を活性化することがわかっています。

BATの活性化が低い対象者であっても、継続的な摂取により「BAT」の熱産生・エネルギー消費を活性化させて、体脂肪を減少させることが確認されています。

食品からカプシノイド類をとるのは難しいため、サプリメントを活用してみてはいかがでしょうか。味の素公式:カプシDX

パラドール

ショウガ科植物種子の抽出物およびパラドールは、胃を介して「TRPV1」、「TRPA1」を活性化します。

BATの活性化が低い対象者であっても、継続的な摂取により「BAT」の熱産生・エネルギー消費を活性化させて、体脂肪を減少させることが報告されています。

ショウガの中に含まれるパラドールはごく微量のため、こちらは池田糖化工業株式会社より「発酵ジンジャーエキスパウダーS」が発売されていますが、一般消費者向けの商品とはいえないようです。

興味がある方は、コチラを参考にしてください。池田糖化工業株式会社公式

カテキン類

お茶に含まれるカテキンとはポリフェノールの一種で、主なものとして「エピカテキン」「エピガロカテキン」「エピカテキンガレート」「エピガロカテキンガレート」の4種類があります。

「エピガロカテキンガレート」とその自動酸化生成物(常温で空気中の酸素により酸化されて生じたもの)は、「TRPV1」、「TRPA1」を活性化させる働きがあります。

茶カテキン0.54g(540mg)を5週間連続で摂取した実験では、「BAT」の活性が高まり、脂肪燃焼が増えたことが確認されています。

ココア、赤ワイン、ブドウ種子、りんごなどに含まれるカテキン重合物は、交感神経活動を亢進させ、「BAT」を増加させます。

カテキン重合物

上記4種類のカテキンと、その4種類の(構造が異なる)異性体の合計8種類が基質となり、結合したもの

お茶の種類タンニン量          浸 出 方 法
玉露0.23g茶葉量:10g 湯量:60ml 浸出温度:60℃ 浸出時間:2.5分
抹茶0.6g粉末6g当たり
煎茶0.07g茶葉量:10g 湯量:430ml 浸出温度:90℃ 浸出時間:1分
番茶0.03g茶葉量:15g 湯量:650ml 浸出温度:90℃ 浸出時間:0.5分
ほうじ茶0.04g茶葉量:15g 湯量:650ml 浸出温度:90℃ 浸出時間:0.5分
玄米茶0.01g茶葉量:15g 湯量:650ml 浸出温度:90℃ 浸出時間:0.5分
ウーロン茶0.03g茶葉量:15g 湯量:650ml 浸出温度:90℃ 浸出時間:0.5分
紅茶0.1g茶葉量:5g 湯量:360ml 浸出時間:1.5~4分
参考:日本食品標準成分表2020年版

お茶のタンニン

お茶の「渋み」「苦み」の成分であり、85%以上がカテキン類であるため、お茶の場合「カテキン」=「タンニン」と考えてよいといわれる

商 品 名販 売 者内容量(ml)カテキン類含有量(g/1本)
おいしいお茶CGC5000.16
国産素材緑茶生協5250.20
TOPVALU緑茶イオン5250.205
伊右衛門特茶サントリー5000.175
おーいお茶伊藤園5250.189
おーいお茶濃い茶伊藤園5250.457
2つの働きカテキン緑茶伊藤園3500.284
綾鷹コカ・コーラ5250.20
綾鷹特選茶コカ・コーラ5000.17
生茶キリン5250.168
ヘルシア緑茶α花王3500.574
出典:北海道立消費生活センター
カテキンを効率良くとる方法
  • 茶葉から浸出する場合は、80℃以上の湯を使用する
  • カテキン含有量の多いものを選ぶ
  • 2時間おきを目安にこまめにとる

魚油

魚油に含まれる「DHA」「EPA」は、胃や小腸を介して「TRPV1」を活性化します。

「DHA」「EPA」は、まぐろ、いわし、さんま、さば、かつお、ぶりなどに多く含まれています。

脂がのる旬の時期のものを、刺身で食べることで効率良く摂取できます。

運動

運動により筋肉から分泌される「マイオカイン」により、「BAT」が活性化されます。

筋肉を動かすことにより、骨格筋から分泌される生理活性物質を総称して「マイオカイン」(myokine:myo=「筋」kine=「作動物質」)といいます。

「生理活性物質」には、生体内のシグナル伝達に対して強い活性を発揮し、生きていくために必要な機能を維持する働きがあります。

「マイオカイン」は筋肉自体に作用するだけでなく、脂肪組織、肝臓、脳、神経組織など他の組織にもさまざまな働きをしていることがわかっています。

「BAT」に関わるマイオカインとしては、

  • Irisin
  • BDNF
  • BAIBA
  • FGF21
  • IL-6
  • EXPM1

などがあります。

まとめ

「BAT」を活性化する

  • 食事
  • 食事由来成分
  • 運動

を日常生活に取り入れて、太りにくい体を手にしましょう!